「キスする時位、目ぇ閉じろ」

体温度

言ってる意味が解らなくて首を傾げた。
取り敢えず、反抗する理由も無いので従う事にした。
目を閉じると早急に顎を掴まれ、正に噛み付く様なキスをされる
激しく求められるのは嫌いじゃない。寧ろ、好きだと言える。
ハチャはとても単純で解り安い。
良く言えば素直、悪く言えば我が儘。
「…集中しろ、俺に」
キスの合間に不機嫌な声。
「ハチャの事を考えて居た」
そう返すとまた求められる。舌を噛んで、歯列をなぞる舌に微かに下肢が疼いた。
合間に目が合った。
思わず反らして
だらりと下がって居た手をハチャの肩に延ばし、爪立つ。
すると手首を掴まれて起用に背中に誘導される。
ぎゅう、と抱き締めてやると唇を舐められた。
「お前も目、開けてるじゃないか」
深呼吸を繰り返しながら言う。歳だろうか
「テメーの顔が見たいからだ」
若さからか。まだまだ余裕の顔を見せるハチャの顔が妖しげに笑った。
私はどんな顔をしてキスを受けてるのか。
…考えたくもない。

キスで一気に力が抜けてベッドに座り込む。
ハチャを見上げると額にキスをされた。
首、胸、腹----
私の身体を這う、蛇の様だと、ぼんやりと働かない頭で思う。
下肢に来たハチャの頭を、髪を撫ぜてやる
髪を掻き交ぜる私の手に自分の手を重ね、口元に持って来ると指を口に含む
まるで、口腔愛撫の様に。
「…っも、う、」
丸で自身を愛撫されてる様な錯覚。
指を口腔から抜かれるととちゅ、と音立て口付けられる。
「もう…、何?」
解ってる癖に、訪ねて来る。
「言ってみろ、其の口で…声で」
わざとに、羞恥心を高める言葉。
声色をいつもより低くして、耳元で囁く
「…っ止め」
耳を塞ぎたい。いや、其の気になれば塞げたのに塞げなかった。
脳が命令する。が、見離されたかの様に身体は拒否する。
目の前の快楽に忠実な浅ましい身体。
「言えよ」
催促してくる。
言っても聞かないだろう、時々子供の様だと思う。
「…触っ、て、くれ」
「何処を?」
間髪入れず更に問われる。
自分を求められたい、其れはハチャも一緒らしい。
「…ペニス。触っ、て…くれ。私の。」
羞恥で喉に詰まる声を押し出す。
彼が私を求めるなら。
出来る限り、与えたいと思う。
「良く出来ました」
クスクスと、可笑しそうにいながら、下からキスをされる。
触れ合うだけの軽い、汚れを知らぬ子供の様な。
上目でこちらを見遣ったハチャと目が合った。
「…すき?」
唐突に、問われる。
「え?」
「キス。」
ああ…キス。キスか…
「…すきだ」
正直に答えた。キスは嫌いじゃない。
感じるから。愛情を。
「やっぱりな。安心した様な顔する」
そう言いながら下肢に手を延ばす。
安心した顔…なんて、して……
顔に、頬に熱が灯る。
「…してない。」
腕で顔を隠した。
「してる。」
自身を指先が這う。つつ、っと根元から先端迄ゆっくりと。
たどたどしく、時間を掛けて。